2017/03/23 13:40

野生祖先種はアフガニスタン、中央アジアおよびカフカス地域に広く分布するが、栽培型に酷似した形態と遺伝的変異が豊富に存在するアフガニスタンのヒマラヤ・ヒンドゥー・クシ山麓地域が栽培型の成立した起源地と推定される。この地域から栽培型のアフガン系が西方と東方に伝播された。西方へは、トルコに10~11世紀に伝播し、トルコのアナトリア南西部で、アフガン系と地中海地域からイランまで自生している亜種との交雑によって、その雑種後代から新たに欧州系が成立した。その後欧州系はスペインに12世紀、北西ヨーロッパに14世紀、イギリスに16世紀に伝播した。今日、世界的に栽培される品種は橙色の短形種が主体であるが、16世紀までの品種は紫色または黄色の長根系統で、とくに紫色種が普遍的であった。しかし、紫色種はスープの材料に用いた場合、紫褐色になるので好まれず、黄色種が主体となり、さらに17世紀の初め、オランダで黄色種から橙色種の選抜に成功し、以後、橙色種が普及するようになった。東方への伝播は、中国に元時代の初期、雲南を経て華北に入り、華中に普及して、東洋系が成立した。